最近では一般化している「形状記憶シャツ」。皆さんも1着は持っていたりするのではないでしょうか。

かくいう私は、ワイシャツを着て仕事をしていたときは、すべて形状記憶シャツを使っており、アイロンを使うことは滅多にありませんでした。本当に便利なものができたものです。

この形状記憶シャツ、一般に形状記憶繊維や形態安定繊維と呼ばれる素材を使用しているのですが、なぜしわになりにくいのでしょうか?

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そもそも、綿製品がシワになる原因は、繊維の構造にあるそうです。

綿は、実は10万分の1ミリという細かな繊維の寄せ集まりであり、さらにそのミクロな繊維は、セルロース(繊維素)の分子配列が密な部分と荒い部分から成り立っているのだそうです。そして、洗濯や汗によって水分を含むと、セルロースの分子配列が荒い部分は膨張し、その配列が乱れてしまいます。そして、乱れたまま乾燥すると、そのひずみがシワとなって残ってしまうというのです。

そこで、ホルマリンなどのガスを使って、セルロース分子同士に橋を架けたような状態で結合させ、それ配列が乱れないようにしたのが形状記憶繊維なのだそうです。

形状記憶シャツの場合、縫製後にアイロンをかけた状態で化学処理を行うので、「シワのない状態」を記憶し続けるとのことです。

説明を読むだけではなかなかイメージしにくい部分もあるのですが、身近な形状記憶シャツに分子レベルの化学処理がなされているというのは、なかなかビックリですね。