スーツなどのズボンを購入し、裾上げを依頼すると、「シングルにしますか、ダブルにしますか?」と聞かれます。私自身はダブルにしたことはないのですが、上品な年配の方のズボンを見ていると、時々ダブルの裾を見かけることがあります。

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     ダブル仕上げの裾

ところで、このダブル仕上げの裾の起源については奇妙ないわれがあるとのことです。

19世紀末のニューヨークで上流階級同士の結婚式があったそうです。当然、招待客はアメリカの名士ばかり集まっていました。

その日はあいにくの空模様で、式の直前は土砂降りになっていました。そこに遅れて招待客の一人が遅れて到着しました。その招待客は雨に濡れないようにズボンの裾を折り曲げていましたが、会場に着いたあともすっかりそのことを忘れていました。

その人がごく普通の人だったら何も起こらなかったかもしれません。しかし、そのズボンを折り曲げていた招待客というのが、参列者の中で唯一のイギリス人、しかも周りから「オシャレなイギリス紳士」と目されていた人だったのです。

当時のアメリカは、政治面だけでなくファッションの面でもまだ後進国。一方のイギリスは、政治でもファッションでも当時世界の中心でした。そのため、その「イギリス紳士」の折り曲げたズボンの裾を見たアメリカ人は、これぞ最新のファッションだと誤解して、こぞって真似するようになったということです。

ということで、ズボンの裾をダブルにするスタイルは、アメリカ人の誤解から始まったというお話でした。